講師Mのドイツ音大留学 ”なかなか聞けない留学体験記”⑥

 〜ドイツ音大ピアノ留学〜アボ

 

1か月弱のホストファミリーでの滞在に別れを告げ、やってきたのは「アボ」と呼ばれる学生寮。音大の裏、徒歩30秒。8階建の古いマンション。

家具は揃っていると聞いていたので、スーツケースでやってきた私が目にしたものは、木枠のベッドと机、そしてブラインドが壊れた窓。

マットレス、なし。共通スペースはすべて男女共用。キッチンにはシルクロードを感じるスパイスの香りが立ち込めていました。

自分に割り当てられた部屋は、地上階(日本の1)で、道路に面しているのに外から中が丸見え。

床は前の人が土足で使っていたのか、無人の期間があったのか、土埃が積もっています。

 

色々と諦めた私は、ベッドの木枠の上に転がり、コートを布団がわりにして、とりあえず明日考えようと眠りについたのでした。

 

翌日、アボの倉庫からマットレスを運び、たまたま知り合った優しい先輩の助けで布団を買いに行き、生活に必要なものをいくつか譲って頂き、ネズミとイモリかヤモリの死骸に震えながら大掃除をし、窓に目張りできるような厚手の布を買い、カーテンのようにDIY

なんとか馬小屋よりはマシ程度に進化した寮と音大での練習の日々が始まります。

 

初回レッスンまで、あと数日。

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